建設現場で測量のためににドローン(小型無人飛行機)が飛び、油圧ショベルやブルドーザーが自動で作業する。こんなSFのような工事が現実になろうとしている――。

写真●スマートコンストラクションでは自動測量向けに米スカイキャッチのドローンを使用する
写真●スマートコンストラクションでは自動測量向けに米スカイキャッチのドローンを使用する
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 コマツは2015年2月1日から、建設現場向けのICTソリューション「スマートコンストラクション」を開始した。現場で工事を進める建設業者に、自動制御できるドローンやブルドーザーを貸出し、測量データや設計図面などを一元管理できるクラウド環境も提供する(写真)。建築業者は、建設現場における測量から完工までの工数の削減や、人員の削減を図れる。

 同社はこれまでも、ICT技術を建築現場に積極的に持ち込んできた。2001年には、建設機械の位置や稼働時間といったデータを遠隔から確認できるシステム「KOMTRAX」の建機への標準装備を開始した。建機の「健康状態」に関するデータを収集・蓄積して、修理コストの低減などを実現している。

 2013年には、自動制御で作業するICT建機の導入を開始した。油圧ショベルやブルドーザーといった建機を自動制御することで、経験の浅い建設会社の作業員をサポートする。国内での導入現場では、人件費や燃費などのコストが平均20%削減できたという。

 今回提供開始したスマートコンストラクションでは、同社初の取り組みとなるドローンを導入して自動測量を可能にする。取得したデータはクラウド上に集約し、設計図面などと合わせて施工計画を作成する。実際の工事では、施工計画に従って、ICT建機が整地・掘削などの作業を自動制御で行う。このソリューションの利用で「20%程度のコストを削減できるのでは」(コマツレンタルの担当者)。

 コマツは、スマートコンストラクションを新たな中核事業に育成するため、「スマートコンストラクション推進本部」を設置、実際には同社のグループ会社「コマツレンタル」を通じて提供する。価格は、対象となる土地の広さやドローンの台数など条件によって変動するが、月額100万円を目安とし、早期に年間100億円規模の売り上げを目指す。