法務省は市区町村の戸籍事務でのマイナンバー利用に向け、2019年の通常国会に戸籍法改正案を提出する検討を進めている。2014年10月から有識者研究会などを開き、2017年に報告書を公表した。

 戸籍事務でのマイナンバー利用は行政電子化の目玉と期待されている。婚姻届の提出やパスポートの発給申請の際に戸籍証明書などの添付が不要になり、一部の行政手続きはインターネットで可能になるからだ。

 しかし、関係者からは実現を不安視する声が出ている。戸籍情報システムが持つデータ仕様がバラバラで、マイナンバーとひも付ける作業負荷が高く、正確性にも問題が残るからだ。

図 マイナンバーと戸籍情報の連携の流れ
図 マイナンバーと戸籍情報の連携の流れ
作業負荷が高まる恐れも
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ベンダーごとにデータ形式が異なる

 戸籍情報システムはベンダー8社が標準仕様書に基づき開発、本籍地の市区町村が個別に運用している。戸籍情報システムに詳しい関係者は「ベンダーが標準仕様をどう解釈するかによってデータ形式が異なる」と指摘する。

 例えば外国人などの婚姻届に対応するために、標準仕様よりも長い文字列を入力可能にしたり、アクセスログのデータ形式が異なったりする。自治体が「未記載は全て『9』とする」といった独自ルールを設けるケースもある。