富士通が2015年1月19日、社長交代の人事を発表した。執行役員常務兼Asiaリージョン長の田中達也氏が同日付で執行役員副社長に昇格し、6月22日付で代表取締役社長に就任する。

 2010年から社長を務めてきた山本正已氏は、代表取締役会長に退く。6月の正式人事に先行し、4月1日にも田中副社長を実質的なトップとする新執行体制に移行する見通しだ(写真)。

写真●富士通の次期社長に内定した田中達也副社長(右)と山本正已社長
写真●富士通の次期社長に内定した田中達也副社長(右)と山本正已社長
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 同社16代目社長に内定した田中副社長にかかる最大の期待は、グローバル事業の拡大である。山本社長は19日の会見で、田中副社長を次期社長に選んだ理由を問われ、「グローバルという当社にとって大きなテーマに対し、彼は非常に理解がある」と語った。

 田中副社長は、営業畑出身で海外通の人物。大手製造業向けの国内営業を長く担当し、その後は中国やASEANで成長市場の開拓に取り組んできた。

 会見では、「山本社長が進めてきたグローバル体制の深化が最大の課題。私は海外の現場で現実を見てきた。グローバル化の取り組みをさらに加速させていく」と、自信をのぞかせた。

欧米市場で存在感を出せるか

 グローバル事業に対する田中副社長のこだわりは、各国固有の事情に合わせた販売戦略を練ること。2014年10月、当時執行役員常務兼Asiaリージョン長だった田中氏に本誌がアジア戦略について聞いた際、「米アップルや米IBMのように、『我々のやり方はこうだ』と製品を売るのも一つの手法。ただし当社は各国が抱える課題を“一緒に解決”する道を選ぶ」と答えている。