ソフトバンクは1月23日、電力サービス「ソフトバンクでんき」を刷新し、中部電力と関西電力のエリアで「おうちでんき」を開始すると発表した。従来の電力使用量に応じて損得が分かれる料金体系ではなく、地域の電力大手に比べて1%安い水準に設定。携帯電話や固定通信との組み合わせでも回線当たり月100円を割り引く。

写真1●電力サービスを刷新、新たに「おうちでんき」を開始するソフトバンク(出所:ソフトバンク)
写真1●電力サービスを刷新、新たに「おうちでんき」を開始するソフトバンク(出所:ソフトバンク)
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 ソフトバンクでんきはこれまで、鳴かず飛ばずの状況だった。かたやKDDIの「auでんき」は至って順調だ。経済産業省が公表する新電力の需要状況(2016年9月実績)を見ると、東京ガスが突出した1位となっているものの、KDDIは大阪ガスに次ぐ3位に着けている。auショップでは「1日1電」を掛け声に契約数を地道に積み増し、「当初、想定していたペースにようやく乗ってきた」(KDDI幹部)と手応えを感じている。

 サービス内容や提供条件は異なるとはいえ、この差は一体、何なのか。ソフトバンク幹部が挙げる最大の敗因は、損得が分かりにくく、ソフトバンクショップのスタッフが自信を持って勧められなかったことだ。電力使用量は家庭ごとに異なり、毎月変動するため、単月の検針票の確認だけでは判断が難しい。安易に切り替えを勧めれば「電気代が上がった」とクレームを受ける可能性がある。その点、KDDIの「auでんきセット割」は毎月の電気料金に応じてキャッシュバック率に差を設けているが、切り替えれば確実に得する仕組みであり、分かりやすさが契約数の伸びにつながっている。

 そこで、ソフトバンクはKDDIを見習うことにした。おうちでんきの電気料金は使用量に関係なく、地域の電力大手に比べて1%安い。携帯電話や固定通信との組み合わせでも割り引きを受けられる。「auのようなプリペイドカードへのキャッシュバックは分かりにくいため、料金の割り引きだけで勝負することにした」(幹部)。