「IoT(Internet of Things)サービスの構築に必要な機能は全てカバーできる」(富士通)。

 同社は2016年1月20日、組み込み向けセンサーモジュールやデータ分析用のクラウド環境など10種の製品群「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE(以下、ユビキタスウェア)」を同日から順次、提供開始すると発表した。ヘッドマウントディスプレイなど2種は先行して2015年上期に発売している。

 センサーモジュールや分析用のソフトウエアなど必要な製品を取捨選択して使える。例えば製造業では、組み込み用途のモジュールは利用せず、クラウドや分析用のソフトだけを採用。ITベンダーであれば、モジュールのみを採用するといった柔軟な選択が可能だ。介護施設や病院、農家などのユーザーもIoTサービスやシステムをゼロから構築できるとする。

 ユビキタスウェアのターゲットは全業種だ。製造業やITベンダーに限らず、建設、交通、官公庁、自治体などの10業種14社と実証実験に取り組む計画を明らかにした。既に約470件の商談を進めており、2016年中に約940件まで増やす。2020年には売上高1000億円まで拡大する計画も明らかにした。

68種のアルゴリズムで分析

 ユビキタスウェアの中心となるのは、データ分析用のソフト「センサーアルゴリズム」と、組み込みモジュールの「コアモジュール」だ()。センサーアルゴリズムは同社が独自に開発した68種類のアルゴリズムで構成される。コアモジュールは加速度や角速度、気圧などのセンサー、Bluetooth Low Energyの通信機能などを搭載。用途に合わせてウエアラブル端末に組み込める。

図●富士通が提供するユビキタスウェアの利用イメージ
図●富士通が提供するユビキタスウェアの利用イメージ
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 例えば、物流の倉庫や小売の店舗内で人間やモノの動線を分析する用途では、バッジやタグにコアモジュールを組み込んで使う。あらかじめバッジなどに組み込んだ「ロケーションバッジ・タグ」を提供し、IoTシステム構築の手間を省く。端末が取得したデータはクラウド上に収集し、センサーアルゴリズムで解析する。データ解析機能の一部は、コアモジュールにも搭載しており、ネットワークのデータ伝送負荷を減らせる。

 ユビキタスウェアを試験的に導入できる「パイロットパック」も用意。センサーアルゴリズムや分析用のクラウド環境で構成する。価格は80万~120万円だ。同社グローバルマーケティング部門長の阪井洋之執行役員常務は「IoTサービスを実機で検証しやすくし、ユーザーのサービス構築を促す」と話す。