キヤノンは2016年1月27日、真栄田雅也専務取締役(63)が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格する人事を発表した。御手洗冨士夫代表取締役会長兼社長CEO(最高経営責任者、80)は社長職を外れ、会長兼CEOは引き続き務める。

 1月27日に開催した交代発表の記者会見で真栄田新社長は「強いプロダクトを継続的に投入することと、最先端の製造技術を取り入れ原価低減を続けていくこと。この2つをがんばりたい」と表明した。

社長交代の記者会見で握手を交わす、キヤノンの御手洗会長兼CEO(左)と真栄田新社長兼COO(右)
社長交代の記者会見で握手を交わす、キヤノンの御手洗会長兼CEO(左)と真栄田新社長兼COO(右)
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デジカメ事業トップシェアの立役者

 御手洗会長兼CEOは、真栄田専務を新社長に選んだ理由について「事業部長として高い実績を残していることと、量産体制の徹底的な自動化で国内生産と雇用を守ったこと」の2点を挙げる。

 真栄田新社長は1952年生まれで、1975年にキヤノン入社。現在はデジタルカメラ部門を含むイメージコミュニケーション事業を統括する本部長を務めている。デジタルカメラの開発に草創期から携わり、一眼レフカメラ「EOS」やコンパクトデジタルカメラ「IXY」を軸としてカメラのデジタル化を推進。キヤノンはデジタルカメラ市場で現在も高いシェアを誇る。

 加えて、BtoB領域で新市場の開拓も進めた。例えばカメラでは、「CINEMA EOS SYSTEM」シリーズを立ち上げて、映画撮影向けの領域に参入。「米ハリウッドの映画業界でも評価をいただき高いシェアを誇っている」(御手洗会長兼CEO)。また、現実世界とCGを組み合わせたAR技術を自動車や船舶の設計に応用した「MREAL」を事業化している。