「観光とICTを掛け合わせて、外国人観光客をもっと呼び込みたい」――。秋元克広札幌市長は2016年1月19日、日本マイクロソフトとYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(以下、YRP UNL)と共同開催した「オープンデータによる都市全体の外国人観光客の受入環境整備事業」に関する実証実験実施の記者会見で、こう意気込みを述べた。

 本事業は総務省のオープンデータ・ビッグデータ利活用推進事業の一つを、日本マイクロソフトとYRP UNLが札幌市の全面協力を得て受託したもの。観光・施設情報、スポーツ情報、公共交通情報などのオープンデータを活用したスマホアプリを開発し、外国人観光客向けに観光やイベント観戦に役立つ情報を提供する。予算額は約4000万円という。

ucodeとAzureを活用

 アプリ開発では、オープンデータの流通基盤として「Microsoft Azure」、自動翻訳サービスに「Micfosoft Translator」、利用者の位置情報の取得にYRP UNLが開発したucodeビーコンを活用する。

 ucodeは「モノ」や「場所」などに対して割り当てる、国際標準規格の固有識別番号だ。実証実験で開発するアプリはucodeにオープンデータと自動翻訳サービスを組み合わせ、現在地の案内情報、イベントや買い物情報、鉄道やバスの30秒ごとの位置情報などを利用者の母国語で表示する()。

図●札幌駅地下街でのucodeビーコン活用例。スマホを持ってビーコンに近付くと場所情報を自動で配信する
図●札幌駅地下街でのucodeビーコン活用例。スマホを持ってビーコンに近付くと場所情報を自動で配信する
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 言語は現時点で日、英、中(2種類)、韓、タイの6カ国語に対応する。ucodeを発信するBluetooth Low Energy対応のucodeビーコンは、現在札幌駅地下街に11カ所、大通公園に11カ所設置している。