写真1●九州大学の久保千春総長
写真1●九州大学の久保千春総長
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 九州大学は2016年度から2017年度をめどに、サイバーセキュリティに関する講義を全学部で必修科目にする方針であることを明らかにした。総合大学では珍しい試み。同大学では2014年10月から、サイバーセキュリティの基礎やサイバー犯罪の事例を教える「サイバーセキュリティ基礎論」を全学部向けの選択科目に設置している。これを、全学部1年生の必修科目にする考えだ。

 背景には、2014年11月に成立し、2015年1月に全面施行されたサイバーセキュリティ基本法がある。「サイバーセキュリティ基本法では、国民一人ひとりのサイバーセキュリティへの理解や関心を深めていくことが国の責務とされており、教育研究機関はその取り組みに協力することが求められている。全ての学生を対象としたサイバーセキュリティ教育を導入し、学生のリテラシー向上に努めることで、大学としての責務を果たしていく」(久保千春総長、写真1)。

 サイバーセキュリティ基礎論の必修化を推進するのは、2014年12月1日に設置された「サイバーセキュリティセンター」だ。学部横断の組織である同センターでは、サイバーセキュリティ分野の教育プログラム開発と基礎研究を担う。例えば、シラバスや教材は同センターが中心になって開発する。

情報教育に社会科学の知見を盛り込む

写真2●サイバーセキュリティセンターの岡村耕二センター長
写真2●サイバーセキュリティセンターの岡村耕二センター長
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 サイバーセキュリティセンターは、インターネットが専門の岡村耕二教授をセンター長に、情報系の教授・准教授、法学・経済学の教授、民間企業に所属する特任准教授などで構成される。「情報系の専門家だけではなく、法律や経済の研究者も参加していることが特徴」(岡村センター長、写真2)。