2018年1月初頭に明らかになったCPUの脆弱性問題が、システムの性能低下や頻繁な再起動など実用上の問題に広がりつつある。脆弱性を緩和するソフトウエアやファームウエアの更新が進む中、米IT企業などが性能低下の評価結果を公表し始めた。各社の発表内容をまとめた。

 米インテルは9日から10日にかけて、更新プログラム適用後のPC向けCPUの評価結果を公開した(インテルの声明)。「Core」プロセッサの第6世代品(開発コード名:Skylake)、第7世代品(同:Kaby Lake)、第8世代品(同:Coffee Lake)を搭載したPCについて評価を実施。一般的なWindowsアプリケーションを想定したベンチマークテスト「SYSmark 2014 SE」では、総合評価で最大8%の性能低下が生じた。Webアプリケーションのベンチマーク「WebXPRT 2015」では、最大10%の性能低下だった。

 インテルは今後、過去5年間に提供したモバイル向けとデスクトップ向けCPUの代表的な評価結果を公表する方針だ。サーバー向けCPUの評価結果は10日の時点で「数日中に公表する」としている。

 米マイクロソフトは9日、古い世代のCPUで性能低下が顕著になるとの評価結果を示した(マイクロソフトのブログ)。Skylake以降のCPUにWindows 10を搭載したパソコンでは一桁%の低下にとどまるが、Haswell以前のCPUにWindows 10を搭載した2015年ごろのパソコンでは一部のベンチマークで顕著な減速があるとした。Haswell以前のCPUにWindows 8または同 7を搭載したパソコンではほとんどのユーザーが性能低下に気づくだろうと指摘した。

 サーバーはアプリケーションごとに影響が異なりそうだ。マイクロソフトは9日、「Windows Server搭載機は入出力処理が多いアプリケーションで性能低下の影響が顕著になる」とした。

 米レッドハットは10日に、Linux OS「Red Hat Enterprise Linux 7」を搭載したサーバーにおける性能低下の影響を公表した(レッドハットの声明の日本語版)。Haswell、Broadwell、Skylakeについて検証し、「カーネルモードとユーザーモードの切り替え時のセキュリティを強化するための負荷が増えて性能に影響が出ている」とした。