ユーザー企業のCIO(最高情報責任者)やシステム部長が参加する日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2015年1月15日、上場企業とそれに準じる企業におけるIT投資・活用動向の調査結果(速報値)を発表した。2015年度のIT予算を前年度より「増やす」企業の割合は42.0%で、IT予算を「減らす」(18.2%)割合を20ポイント(pt.)以上上回った(図)。
上場企業の約4割がIT予算を増額
2014年度の実質GDP(国内総生産)がマイナス成長の見通しになるなど、国内景気の先行きは不透明感を増している。しかし、ユーザー企業の多くはIT予算を絞り込むことはせず、2015年度も引き続き積極姿勢でIT活用を推進しそうだ。
特にIT投資に積極的なのが、売上高が1000億円未満の中堅中小企業だ。IT予算を「10%以上増やす」企業の割合は2割弱と、売上高1000億円以上の大手企業を大きく上回る。「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いて求めた指標(DI)を見ると、大手は10pt.前後であるのに対し、中堅中小企業では30pt.に迫る。
調査を取りまとめているJUASの浜田達夫常務理事は、「IT活用の必要性や重要性に対する認識が、中堅中小企業の経営層にも浸透してきた。事業のグローバル対応などの波が、中堅中小企業クラスに広がっている背景もあるだろう」と分析する。
業種グループ別にみると、IT投資に積極的なのは、電気・水道・ガスといった「社会インフラ」だ。IT予算のDIは42.6pt.とIT予算を増額する割合が減額する割合を大きく上回る。これに「サービス」(36.3pt.)、「商社・流通」(25.2pt.)が続く。DIが最も低いのは「機械器具製造」だったが、それでもDIは20pt.を上回った。