Webマーケティング支援などを手掛けるインタセクト・コミュニケーションズは2016年12月20日、「CBPR(越境プライバシールール)」認証を取得したと発表した。認証を受けた企業は国内で初めてだ。

 CBPR認証を受けると、APEC(アジア太平洋経済協力)のプライバシー保護ルールを順守していると認められ、APEC域内と日本との間で個人データをスムーズに移転できるようになる。2017年1月現在、APEC加盟国・地域でCBPRに参加しているのはカナダ、日本、米国、メキシコで、アジア諸国は参加を検討中という。

 インタセクトは、CBPR認証を主に訪日中国人向け事業に生かす考えだ。同社の譚玉峰(タン・ユーファン)社長は「海外の個人データを扱う際に事業に支障が生じないよう、先行して認証を取得した。中国企業も個人情報の取り扱いを重視しつつある。認証取得は、中国の関係者へのアピールにもなると期待している」と話す。

対象は月50万人の訪日中国人

 インタセクトは2016年11月、国内の小売企業や飲食店向けに、全世界の利用者数が8億人というSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)スマートフォンアプリ「WeChat(微信)」の公式アカウント開設や運用代行、WeChatを利用した決済サービス「WeChat Payment」の導入支援を開始した(写真)。これがCBPR認証を取得するきっかけとなった。

写真 WeChat Paymentの利用場面
APEC域内と日本で個人データの移転が容易に
写真 WeChat Paymentの利用場面
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 WeChat Paymentを使うと、中国の利用者が銀行口座を登録すればスマホだけで買い物ができる。WeChat Paymentに対応する店舗は利用者のスマホ画面に表示されたQRコードをタブレットで読み取り、利用者の口座から購入金額を自動的に引き落とす。

 訪日中国人の利用が多い銀聯カードよりも少額決済向きで、日本でもディスカウント店など数百社が導入しているという。利用者数は全世界で4億人といわれる。