マイナンバーの利用がスタートした2016年1月、総務省の高市早苗大臣が仕事始め式で、企業などが発行しているポイントカードを個人番号カード(マイナンバーカード)に一体化する検討を指示したと伝えられた。磁気カードを発行している企業がICカードに移行する際の投資コストを軽減できるのでは、と期待しているようだ。

 高市大臣は記者会見で、2016年夏までに技術的な課題も含めてビジネスモデルを検討し、2017年から活用してもらうように政府の成長戦略に反映する、と述べている。

 マイナンバーカードには、2つの利用方法がある。まず一つは、行政機関が社会保障や税の手続きに限定して利用するマイナンバーそのものを利用する仕組みだ。もう一つは、希望者のみに無償で交付する「個人番号カード」の内蔵ICチップに搭載された「公的個人認証」や「ICチップの空き領域」を利用するものだ()。

図●個人番号カードICチップの構成
図●個人番号カードICチップの構成
(総務省の公表資料を基に作成)
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 このうち公的個人認証には、署名用と利用者証明用の2つの電子証明書が搭載される。署名用には氏名、住所、生年月日、性別の4情報が記載され、これまで住民基本台帳カード(住基カード)に組み込まれて、国税電子申告・納税システム(e-Tax) の確定申告用電子文書を送信する際に使用してきた。

 個人番号カードには新たに、利用者証明用の電子証明書が搭載され、2017年以降にマイナンバーがどう使われたか自ら確認できる「マイナポータル」のログインや、インターネットで本人であることを証明する手段として使える。2つの電子証明書は、総務大臣が認めれば2016年1月から民間企業が使用できる。

 一方、このうちICチップ空き領域について、国の機関などについては総務大臣の定めにより独自利用も可能だ。現在のところ、政府は2016年4月以降に国家公務員らの個人番号カードにアプリをインストールして国家公務員ICカード身分証として利用すると公表している。また、市町村・都道府県なども、条例で定めれば、印鑑登録証や自治体が運営する図書館の利用者カードとの一体化ができる。