国際自動車は、スマートフォンを振ってタクシーを呼ぶアプリ「フルクル」のダウンロード数が提供開始から1カ月半の2017年12月時点で、2万を超したと明らかにした。「タクシーでチラシを配布するなどの宣伝しかしていないにもかかわらず、想定よりも利用数が増えている」と国際自動車の森田健太郎 企画・広報室 係長は話す。
フルクルのシステムは、米Googleのクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」上に構築している。Googleが2017年6月に東京リージョンで提供を開始したRDB(リレーショナル・データベース)サービス「Cloud Spanner」をいち早く採用、2017年4月~10月の約半年で開発した。現時点で商用サービスにSpannerを採用した国内のシステムはほとんどないと見られる。
半径500メートル以内のタクシーを呼ぶ
フルクルが従来のタクシー配車アプリと異なるのは、「利用者情報の登録や配車料金が不要な代わりに、必ずタクシーを配車するとは約束していない点だ」と国際自動車の澤井慎也 管理部IT課係長は強調する。
フルクルの目的は、「ビルを挟んで裏側で手を挙げていた」など、従来、近隣にいるのにタクシーを捕まえられなかったニーズを掘り起こすこと。フルクルは国際自動車が無償で提供し、利用料金などもかからない。「流しのタクシーは今、手を挙げて捕まえる。手を挙げる動作をスマホを振ることに代えたい」と澤井係長は説明する。
フルクルの仕組みは以下の通りだ。
タクシーを捕まえたい顧客がフルクルをインストールして起動したスマートフォンを振ると、顧客のスマートフォンのGPSの緯度・経度の情報がフルクルが稼働するサーバーに送られる。その情報を顧客が呼び出した位置から半径500メートル以内にいるタクシーに送信し、顧客がタクシーが探していることを通知する。
顧客の位置情報はスマートフォンから5秒ごとにフルクルのアプリケーションが稼働する送信する。1度振ってから2分間は、顧客の位置情報を送り続けるタクシー側の位置情報は10秒間に一度、フルクルサーバーに送られる。フルクルを振った顧客が登場すると、「フルクルフルクル」という効果音とともにカーナビの地図上に顧客の位置が表示される。
タクシーにはカーナビなどの役割を果たすタブレットに外付けのGPSジャイロセンサーが取り付けてあり、フルクルサーバーに対してタクシーの位置情報や向きを送る。その情報が顧客のフルクルアプリ上に表示され、自分に近づいてくるタクシーが分かる。