写真●遠藤信博現社長(左)と次期社長としてバトンを受け継ぐ新野隆現副社長
写真●遠藤信博現社長(左)と次期社長としてバトンを受け継ぐ新野隆現副社長
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 「企業経営には継続性が欠かせない。だから彼を選んだ」――。NECが2015年12月25日に開いた社長交代会見。遠藤信博社長は、現副社長の新野隆氏を後継者に指名した理由をこう語った。

 新野氏は遠藤氏の1歳年下で、“右腕”と呼んできた存在。NECは社会ソリューション事業を柱とする成長戦略を掲げるが、現経営陣の中心メンバーとして推進してきたのが新野氏だった。あえて経営トップの若返りを図らず、経営方針を継承し社会ソリューション事業に注力する路線を選んだというわけだ(写真)。

「やるべきことは明確だ」

 遠藤氏は6年間の社長在任期間で、不採算事業の整理と成長分野の絞り込みに取り組んだ。中でも2010年から12年には、半導体事業や個人向けPC事業の分離、スマートフォン事業の撤退を立て続けに断行。経営課題に一定のめどを付け、13年には成長の柱として社会ソリューションを据えた。

 売上高こそ減少したものの、就任直前の09年度は1.4%だった営業利益率は、4.4%(14年度)まで回復。遠藤氏自身、「次の成長に向けた基盤はできた」と手応えを口にする。

 バトンを受け取る新野氏は、「新社長としてやるべきことは明確だ」と断言する。道半ばの成長戦略を深化させることだという。

 NECは現在、16年4月に始まる3カ年の次期中期経営計画(中計)を策定中。詳細は明らかではないが、その中でグローバル競争力の強化を掲げることは間違いない。同社は以前から海外売上高比率25%の早期達成を掲げているが、現時点では実現できずにいる。一方で、社長交代会見で新野氏は長期目標として30~40%を目指すことを示唆している。