利用者が伸び悩む米ツイッターが、ファン拡大に向けて大胆な挑戦に打って出た。ミニブログ、「Twitter」との連携機能を開発するSDK(開発キット)をこのほど公開。スマートフォンアプリの開発者を味方に付け、様々な場面でTwitterを活用するアプリの登場を促す。

 SDKには、障害レポートや利用状況分析など、「ツイート(つぶやき)」以外の各種データを円滑に活用可能にする機能を主に盛り込んだ。Twitterはツイートを閲覧するだけの人を含めると5億人が毎月アクセスする。消費者の動きを記した膨大な情報量を自在に扱える魅力を訴求すれば、斬新なアプリ開発が増えると踏んでいる。遠回りかもしれないが「急がば回れ」のファン拡大作戦で、利用者拡大の起爆剤としたい考えだ。

オーガニックな成長はもう限界

画面1●開発者会議「flight」で披露したSDK
画面1●開発者会議「flight」で披露したSDK
(出所:ツイッタージャパン提供)
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 「当社のアプリだけで利用者を広げていくのは限界」(ツイッター日本法人)。Twitterのサイトやアプリで「ログインしている状態」の月間利用者数(MAU)は3億2000万人(2015年7~9月期)。前年同期比11%増と二桁成長は維持しているものの、伸びは鈍化しつつある。

 純正以外につぶやきを活用するアプリやサービスは少なくないが、さらに増やすためには開発者向けに手厚い支援が欠かせない。SDK投入の背景にはこんな事情があるようだ。

 SDKは「fabric」と呼ばれる。提供する機能は5種類(画面1)。アプリがクラッシュした原因や影響の調査機能を提供する「CRASHLYTICS」、利用状況を分析する「ANSWERS」、携帯電話番号で利用者を認証するための「DIGITS」、アプリ内に広告を掲載する「MOPUB」、アプリ内につぶやきを表示する「TWITTER KIT」がある。

 TWITTER KIT以外はどれもツイートとは直接関係せず、いわば「つぶやかない」データを活用する機能と言っていい。開発者は無料で利用でき、2015年末時点で既にSDKを活用したアプリを搭載したスマホは世界で13億台を超えたという。