2017年は人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などによる社会や産業の変革を、ますます実感する1年になりそうだ。
AIは自動運転や医療、金融など、より高度な分野への応用が進む見通し。2016年12月22日には米グーグルから独立したWaymo(ウェイモ)と本田技研工業が、自動運転の共同研究に向けた検討を始めたと発表するなど、話題に事欠かない状況が続きそうだ。
IoT分野では通信方式が大きく進展しそう。無線通信「LPWA」の商用利用が本格化するからだ。
LPWAは「Low Power Wide Area」の略で、低消費電力と長距離通信に加え、低コストが特徴の無線技術だ。方式や利用条件によって変わるが、単三電池で5~10年稼働、一つの基地局で半径10km以上をカバー、チップ価格が5ドル以下という性能を持つ。
LPWAの主要方式は「LoRaWAN」「SIGFOX」「NB-IoT」の三つ。2016年後半に実証実験が活発に行われた。2017年には商用展開が始まる。
3方式の中で最も早く導入が進みそうなのがLoRaWANだ。免許不要で電波が遠くまで届きやすい920MHz帯を使う。基地局装置(LoRaゲートウエイ)を購入し、自営のIoT無線ネットワークを構築できる。2016年にはソラコムやスカイディスクなどが、ゲートウエイと通信モジュールをセットにした実証実験キットの提供を始めた。2017年3月には、日本IBMが7社のパートナーと連携してLoRaWANのサービスを開始する。
三つの主要な通信方式には一長一短がある。使われるデバイスの台数が多いほどコストが下がり、普及に拍車が掛かる。2017年はどの方式が良いスタートを切れるかが問われるだろう。