写真1●JR東日本が提供する東京駅構内のナビゲーションアプリ。iBeaconで現在地を識別して案内する
写真1●JR東日本が提供する東京駅構内のナビゲーションアプリ。iBeaconで現在地を識別して案内する
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 公共・商業施設などを中心に、位置情報を示す信号を無線で発信する「iBeacon(アイビーコン)」を活用する動きが急速に増えている。例えば、東日本旅客鉄道(JR東日本)は2014年12月から、東京駅で「東京駅構内ナビ」の実証実験を始めた。スマートフォンアプリで構内案内地図を表示。乗り場や構内店舗などの目的地を入力すれば、その場所への経路案内をする(写真1)。

 こうしたナビゲーションアプリでは、屋外向けにはGPS(全地球測位システム)がよく使われる。ところが都市部の建物内部や地下空間にはGPSの電波が届かない場所が多い。これを補うために、JR東日本は、地下フロアを含む東京駅構内各所に約160個のiBeacon発信機を設置。発信機は「中央のりかえ口周辺」といった位置情報を表すiBeaconの電波信号を出し続ける。スマートフォンはこれを受信して現在地を認識し、目的地まで的確に案内できるようにしている。

 GPSの補完に加え、iBeaconはより狭い範囲での位置情報把握にも効果を発揮する。例えば、京セラドーム大阪(大阪市)では、球場内の座席下などにiBeacon発信機を設置。観客が近くにいるビール飲料の販売員をスマートフォンアプリで呼び出せるサービスを提供している(写真2写真3)。

写真2●京セラドーム大阪ではビール飲料販売員の呼び出しにiBeaconを活用
写真2●京セラドーム大阪ではビール飲料販売員の呼び出しにiBeaconを活用
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写真3●京セラドーム大阪の客席座席下の様子。固定されている黒い箱状のものがiBeacon発信機
写真3●京セラドーム大阪の客席座席下の様子。固定されている黒い箱状のものがiBeacon発信機
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 iBeaconの電波は10~数十メートル程度の範囲だけに届き、GPSなど他の位置識別技術に比べて範囲を絞り込みやすい。この特性を生かし、ビールを買おうとする顧客の正確な場所を近くにいる販売員が持つスマートフォンに通知する。