ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 最近、IFRS(国際会計基準)に関するセミナーが増えてきており、参加者も多い。日本においても、ようやく期が熟してきたというところであろうか。

 多くのセミナーでは、IFRSを先行して適用した各社がIFRS導入のメリットについて紹介している。だが本来、個々の企業がIFRS導入のメリットやデメリットを論じ、その中で判断するものなのだろうか。

 そのようなことを感じるなか、2014年12月15日に開催された企業会計審議会会計部会の第1回会合を傍聴した(関連記事:金融庁企業会計審議会の「会計部会」旗揚げ、日本版IFRSの役割を評価)。この部会の目的は、「国際会計基準の任意適用の拡大促進を図るとともに、あるべき国際会計基準の内容について我が国としての意見発信を強化するため、会計を巡る事項について必要な審議・検討を行う」とある。任意適用の拡大をいかに進めていくかを検討するチームである。

 2013年6月に金融庁が取りまとめた「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」では、IFRSの強制適用でなく任意適用の積み上げを推進するという結論を打ち出した(関連記事:強制適用の判断見送り、我が国に適したIFRS策定」、金融庁が報告書)。会計部会の設置は、これを受けたものである。

JMISに対するポジティブな反応は少ない?

 同じ流れの中で、日本における会計基準の設定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)が、IFRS任意適用拡大のための一つのツールとして「JMIS(修正国際基準)」を開発中で、「早期の最終化に向けて作業を進めていく」との方針を示している。

 会計部会の第1回会合では、JMISの役割や位置付けについての発言に加えて、JMISの開発に関わるASBJのこれまでの活動を評価する発言が相次いだ。ところが、筆者が多くの市場関係者や企業経営者、あるいは経理財務責任者と直接会話する中では、このJMISに対する反応は決してポジティブなものではない。このため、この部会の雰囲気に少々違和感を感じた。会計部会の委員の顔触れを見ると、ASBJおよびIFRS作業部会の関係者が多いところから来るのであろうか。