前回(日立、リコー、電通、KDDIはなぜIFRSを採用したのか)に続いて、上場企業の2015年3月期決算短信における「会計基準の選択の基本的考え方」を基に、IFRS(国際会計基準)を適用した目的や理由を分析していく。
分析の対象としたのは、IFRS適用を表明済み、または今回の決算短信開示でIFRS適用を表明した企業を中心とした69社である。開示文章を分析する際は、以下の6種類の文言の発生頻度を見ることとした。
- 比較可能性
- グローバル展開対応
- 投資家利便性
- 会計基準統一
- 経営基盤整備
- 資金調達
前回は日立製作所やリコー、電通、KDDIなど11社を事例として取り上げ、文章の分析の進め方を紹介した。今回は分析結果を見ていくことにしたい。
適用利用で多いのは「比較可能性」
今回対象とした69社に対して、前回11社の事例で示した分析を実施した結果を図1に示す。
「理由なし」とした3社(4%)は、「当社は、前連結会計年度末よりIFRSを適用しています」のように、適用した理由を特に記載していなかった。