「すべての企業がデジタル化を進めるべきだ。すべての商品・サービスはデジタル化によって、より良いものになる」。米ガートナーのマーク・ラスキーノ バイス プレジデント 兼 ガートナーフェローはデジタル化の必要性についてこう語る。経営層のリーダーシップやイノベーションについての研究を担当する同氏に、デジタル化の意義や、CEO(最高経営責任者)やCIO(最高情報責任者)は今後どんな役割を果たすべきかを聞いた。

(聞き手は矢口 竜太郎=日経ITイノベーターズ日経コンピュータ


写真●米ガートナーのマーク・ラスキーノ バイス プレジデント 兼 ガートナーフェロー
写真●米ガートナーのマーク・ラスキーノ バイス プレジデント 兼 ガートナーフェロー
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ガートナーは「デジタル・ビジネス」というキーワードを使って、すべての企業がデジタル化を進めるべきだと主張しています。今、デジタル化が必要なのでしょうか。

 我々が主張するデジタル・ビジネスの意味は、「デジタルな世界と物理的な世界の境界をあいまいにすることで、新たなビジネス・デザインを創造すること」です。決して、デジタルマーケティングなどの狭い分野を指すのではありません。デジタル化によってビジネスの本質が大きく変わるのです。

 質問に対する答えは「Yes」です。なぜなら、すべての商品・サービスがデジタル化によって、より良いものになるからです。デジタル技術を使って変わるものは、販促手段や販路だけではありません。デジタル技術によって「商品そのもの」をより良いものに変えていくことが求められています。

 例えば、私の目の前にある、ミネラルウォーターが入ったペットボトルも、私が座っている椅子も、この部屋のカーペットも、デジタル技術を駆使することで、より良い商品になるでしょう。すべての企業はこの事実から避けられません。