2015年10月末、ガートナージャパンが東京・台場で開催した「Gartner Symposium/ITxpo 2015」。年に1度同社が開くCIO(最高情報責任者)などを対象にしたIT関連の専門イベントで、今年も約60人のアナリストが様々な講演を行った。企業が今後のIT戦略を練るうえで参考になる最新情報を学べるとあって、いずれの講演も熱心に耳を傾ける観客であふれた。本稿では、初日に行われた基調講演で同社が打ち出したメッセージを3回に渡ってお伝えしていく。


 これからの5年間、毎時100万個ずつ新しいデバイスがオンライン化され、それにともない数十億もの新しい関係性がネット上に創出される。こうした関係性は、データだけではなく、アルゴリズム(計算手法)によって推進されることになる。

高まるアルゴリズムの重要性

写真●「Gartner Symposium/ITxpo 2015」で講演するアンソニー・ブラッドリー氏
写真●「Gartner Symposium/ITxpo 2015」で講演するアンソニー・ブラッドリー氏
[画像のクリックで拡大表示]

 強調したいのは、アルゴリズムの重要性だ。そもそもデータ自体が何かをすることはなく、ユーザーが使い方やどのようにアクションに結び付けるべきかを知らなければ、データは意味がない。デジタル・ビジネスにおいて、そこを決めていくのがアルゴリズムである。アルゴリズムこそが、顧客との新たなインタラクション(相互作用)の中核になる。

 実例としては、米アマゾン・ドット・コムのリコメンド(推薦)アルゴリズム、米ネットフリックスのダイナミック・アルゴリズム、数千台の自動車のナビゲーションを行う米ウェイズのアルゴリズムなどがある。

今後、企業や組織の価値はビッグ・データだけではなく、データを実際のアクションに変え、最終的に顧客に価値を提供するアルゴリズムの活用度合いによって決まる。