今、日本企業に求められているのは、デジタルプラットフォームを構築し、そこに多くのパートナーを呼び込むことだ。そうすれば、たとえ地方の小さな会社でも、場所や予算の枠を超えてビジネスを拡大できる。ただしそれを実現するには、3つの関門がある。キーワードは「control」「inertia」「lack of trust」だ。

 それぞれを分かりやすくするなら「コントロールへの執着」「惰性による習慣」「信頼の欠如」となる。

 コントロールには限界がある。デジタルプラットフォームに繋がる全てをコントロールすることは不可能になっている。そこでいかにコントロールせずに影響力を与えるかがポイントになる。そのためには、IT部門の社内での立ち位置を変える必要がある。

写真●米ガートナー リサーチ バイス プレジデント 足立 祐子氏
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写真●米ガートナー リサーチ バイス プレジデント 足立 祐子氏
(撮影=下玉利 尚明)

 CEO(最高経営責任者)とCIO(最高情報責任者)の立ち位置についてどう考えるべきだろうか。本来両者は、「単なるパートナー」であってはいけない。「頼られる同士」でなければならない。

 ところがCIOの約半分は、自分はCEOのパートナーだと認識し、経営戦略や事業戦略には携わっていないとしている。経営戦略や事業戦略を経て、それにそって立案されたプランをICTで実現していくのがCIOの役割だと考えている。

 ところがこうした考えは、デジタル・ビジネスをする上で大きな問題となる。というのもデジタル・ビジネスにおいては複数の部門がチームになる必要があり、そこにICTが複雑に絡む。デジタル化が進展すればするほど、CIOはパートナーとして影響力が増大し、それに応じて「頼られる」機会も増えてくる。

 現在ではCIOの約4人に1人にあたる約23%が「頼られる同士」と認識しているにすぎない。そのうちの50%以上は「ビジネスをけん引している」との認識も同時に持っている。