ISS(国際宇宙ステーション)で動かす予定になっているRaspberry Piの公式拡張ボード「Sense Hat」が発売された。文字などを表示できるマトリクスLEDのほか、加速度、磁気、気圧、温湿度など6種類のセンサーを備える。簡単なPythonプログラムで制御できる。価格は5400円。

 英Raspberry Pi財団の公式拡張ボード「Sense Hat」が2015年9月24日に発売された。加速度、角速度(ジャイロ)、磁気、気圧、温度、湿度という6種類のセンサーを備え、Raspberry Piに差すだけで使えるのが特徴だ(図1)。

図1●センサー満載の拡張ボード「Sense Hat」
図1●センサー満載の拡張ボード「Sense Hat」

 財団は、英国の宇宙飛行士Tim Peake氏にこのボードを付けたRaspberry PiをISS(国際宇宙ステーション)に持参してもらうプロジェクトを進めている。小中学生から実際のプログラムやアイデアを募集し、それを実際に宇宙で動かす。ISSに出発するのは2015年12月15日だ。

 価格は総代理店サイト「Raspberry Pi Shop by KSY」の場合で5400円。Raspberry Pi 2モデルB、Pi 1モデルB+/A+に対応する。

数行のプログラムで動かせる

 Sense Hatは40ピンのピンヘッダーが裏側にあり、Raspberry Piのピンヘッダーに差して使う。表側には8×8のフルカラーマトリクスLEDが付いていて、文字や絵のメッセージを流したりできる。

 推奨OS「Raspbian」の最新版はSense Hat用のライブラリなどを標準で備えていて、すぐにプログラムを開発できる。図2は、マトリクスにメッセージを流すプログラム。たった3行で済む(図3)。

図2●LEDにメッセージを出すプログラム「message.py」
図2●LEDにメッセージを出すプログラム「message.py」
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図3●LEDにメッセージを出したところ
図3●LEDにメッセージを出したところ
文字が左に流れて表示される。写真は「Ni」が表示されている瞬間。
$ python message.py 

 温度をディスプレイに表示するプログラムも同様だ(図4)。

$ python temp.py 
28.9729003906
図4●温度を表示するプログラム「temp.py」
図4●温度を表示するプログラム「temp.py」

 Sense HatはHAT(Hardware Attached on Top)という規格に準拠しているのも特徴だ。この規格を使うと、拡張ボードを差すだけで、ピンヘッダーの設定やドライバを自動的に設定できる。27番と28番ピンがHAT用に予約されていて、このピンからRaspberry Piは、拡張ボード上のEEPROMのデータを読み出す。このデータを使ってRaspberry Piは起動時にピンヘッダーなどを自動設定する。