LinuxやmacOSでもWindowsの.NETアプリケーションを動かせる開発・実行環境「.NET Core 1.0」と「ASP.NET Core 1.0」が正式リリースされた。WindowsでUbuntuを動かす「Ubuntu on Windows」と対をなす「LinuxでWindowsアプリケーションを動かす」環境も整いつつある。

図1●オープンソース化したWindowsアプリケーション開発環境「.NET Core」の解説サイト
図1●オープンソース化したWindowsアプリケーション開発環境「.NET Core」の解説サイト
URLは「https://www.microsoft.com/net/core」。Windows以外に、Linux、macOS、およびDocker向けの利用手順が紹介されている。ソースコード共有サービス「GitHub」上にある公式サイトは「https://dotnet.github.io/」。
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 米Microsoft社がオープンソースとして公開した、.NETアプリケーションを動かす開発環境「.NET Core」とWebアプリケーション開発環境の「ASP.NET Core 1.0」。Windowsアプリケーションの動作基盤となる.NET Frameworkのうち、GUIにかかわる部分を省いた開発環境が一通りそろったことになる。WindowsのコンソールアプリケーションやWebアプリケーション開発環境の「ASP.NET」のコードをLinuxやmacOSで開発・実行できる。

 対象とするLinuxディストリビューションはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)をはじめ、Ubuntu、Linux Mint、Debian、Fedora、CentOS、Oracle Linux、そしてopenSUSEと多岐にわたる(図1)。これを受け米Red Hat社は、RHELでの公式サポートを発表。Windows開発者とLinux開発者の垣根はまた一歩ゼロに近づいた。

MSのリポジトリーで配布

 既に正式版をMicrosoft社のリポジトリーを通じてパッケージで簡単に導入できる。.NET Core 1.0をインストールするには、Ubuntuの場合は図2のコマンドでMicrosoft社のリポジトリーを登録してパッケージを導入する。導入後は、「dotnet」コマンドでプロジェクトの作成やコードの実行が可能になる。

図2●.NET Coreのインストール手順
図2●.NET Coreのインストール手順
Ubuntu 16.04 LTSの場合。14.04 LTSの場合はコマンド中の「xenial」を「trusty」にして実行する。
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 サンプルコードをGitHubで提供しているので、gitコマンドでダウンロードして試せる。サンプルファイルを実行するには、プログラムコードのあるディレクトリーに移動し、「dotnet restore」コマンドで依存関係を解決してから「dotnet run」コマンドを入力する。

$ cd ~/core/samples/helloworld 
$ dotnet restore 
$ dotnet run 

 これでC#のプログラムコードがコンパイルされ、端末に「Hello World!」が表示される(図3)。

図3●サンプルプログラムの実行例
図3●サンプルプログラムの実行例
C#の.NETプログラムコードがUbuntu上で実行できている。
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 新規にプロジェクトを作成するには、任意のディレクトリーで「dotnet new」コマンドを実行する。

$ mkdir dotnetapp 
$ cd dotnetapp 
$ dotnet new 
$ nano Program.cs 

 ひな型の「Program.cs」ファイルにコードを追加していくだけでプログラムを開発できる。