米Google社は2016年5月19日に、ChromebookでAndroidアプリとGoogle Playストアが6月以降に利用可能になると発表した。複数アプリの同時起動や全画面表示などができる。いち早くこの機能を搭載したASUS JAPANの「Chromebook Flip」で、アプリの対応状況や動作速度を検証した。

 Chromebookは、米Google社のChrome OSを搭載したノートパソコンだ。Chrome OSではこれまで、Webブラウザーの「Chrome」や、Chromeをベースに動作する「Chromeアプリ」などを利用できた。

 そのChromebookに、Androidアプリを動かす機能が追加される*1。Androidアプリは現在220万本以上あり*2、Chromebookの用途が一気に広がる可能性がある。これまでも、「ARC Welder」というChromeアプリによってAndroidアプリを動かすことはできたが、Androidタブレットからパッケージファイルを抽出するなどの手間がかかり、同時に起動できるアプリが一つだけという制限があった。今回の新機能では、複数のAndroidアプリをウィンドウで同時に利用できる。

 新機能に最初に対応したのは、ASUS JAPANの「Chromebook Flip」(図1)。Androidアプリを動作させるには、Chromebookのモードを通常の「Stableチャンネル」から、新機能テスト用の「Devチャンネル」に切り替える(図2)。Chrome OSのバージョンが「53」以上になれば、「Google Playストア」をタスクバーから起動して、Androidアプリをインストールできる(図3)。

図1●ASUS JAPANのChromebook Flip
図1●ASUS JAPANのChromebook Flip
SoCはRockchip RK3288C(1.8GHz)で、メモリーは2Gバイト、ストレージは16Gバイト。1280×800ドット表示の10.1型タッチパネル液晶を搭載する。重さは890g。画面が360度回転し、タブレットのような形状で使うことも可能だ。実売価格は3万9000円前後。
図2●「Devチャンネル」に切り替える
図2●「Devチャンネル」に切り替える
タスクバーの右端をクリックして、メニューから「設定」を選ぶ。開いた設定画面で「Chrome OSについて」の文字をクリックして、さらに「詳細情報」をクリックすると、「チャンネルを変更」ボタンが現れる。それをクリックして「Dev-不安定」を選ぶ。
図3●Chrome OS上で開いた「Google Playストア」
図3●Chrome OS上で開いた「Google Playストア」
下端のタスクバーに「Google Playストア」のアイコンが現れる。アプリを選んで利用規約に同意すると入手できる。

ウィンドウのサイズ変更には未対応

 タブレット用のアプリは横長、スマートフォン用は縦長のウィンドウで起動する。ウィンドウのサイズ変更や90度回転はまだできないが、全画面表示は可能だった(図4)。キーボード、タッチパッド、タッチパネルのどれでも快適に操作できた。

図4●アプリの起動と全画面表示
図4●アプリの起動と全画面表示
インストールしたアプリは、Chromeアプリと同様に、右下のアイコンを開いたメニューから起動する。アプリのウィンドウサイズは変更できなかったが、全画面表示は可能。

 テスト版でもかなりのアプリに対応している。Google Playストアの無料アプリランキングの上位20本にあるアプリを試したところ、動作しなかったのはニュースアプリの「SmartNews」、カメラアプリの「SNOW」「Instagram」、ゲームアプリの「クラッシュ オブ キングス」、クーポンアプリの「ジーユー」の5本だけだった。

 グラフィックス系ベンチマークの「3DMark」では、「Sling Shot ES3.0」のスコアが「713」とNexus 7(2013)の「592」を上回った。現時点でもCPUの性能は発揮できているといえそうだ。ただし、「パズル&ドラゴンズ」など、スマートフォン向けの一部ゲームアプリはかなり動作が遅かった。