最新技術を積極的に取り入れるデスクトップ向けLinuxディストリビューション「Fedora」の新版、「Fedora 24」が2016年6月14日に登場する。標準ウィンドウシステムの変更を予定していたが先送りとなり、サーバー/クラウド関連の機能強化が中心となっている。

 デスクトップ向けのLinuxとして人気の「Fedora」の最新版「Fedora 24」の機能が固まった(図1)。Fedoraは、米Red Hat社の商用Linux「Red Hat Enterprise Linux」に将来組み込まれる予定の機能をいち早く搭載するディストリビューション。画面描画をつかさどるウィンドウシステムの標準を従来のX Window Systemから「Wayland」に移行する見込みだったが、先送りとなった。このためFedora 24では、サーバー/クラウド関連の機能強化が目玉になる。

図1●「Fedora 24 Workstation」のデスクトップ
図1●「Fedora 24 Workstation」のデスクトップ
画面はベータ版のもの。
表1●Fedora 24の主な変更点
ここではデスクトップ向けの「Workstation」、サーバー向けの「Server」、クラウド向けの「Cloud」の各版と、派生版の「Labs」の変更点を列挙した。
表1●Fedora 24の主な変更点

 主な強化点は表1の通りだ。各種ソフトウエアのバージョンアップと、サーバー/クラウド関連のパッケージ追加が中心となる。例えばクラウドインフラ向けの「Cloud」版では、PaaS構築プラットフォームの「OpenShift Origin」を簡単に導入できるパッケージを用意する。

 目新しいところでは、特定用途に特化したバージョンを提供する「Fedora Labs」に、天文学向けの「Astronomy」版が加わった(図2)。プラネタリウムソフトの「Stellarium」や天体シミュレーターの「Celestia」などが標準搭載されている。

図2●天文学に特化した「Fedora Labs Astronomy」版のデスクトップ
図2●天文学に特化した「Fedora Labs Astronomy」版のデスクトップ
Fedora 24から新たに加わった。天文学系のアプリケーションを標準搭載する。
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Wayland移行は見送り

 Fedora 24は、デスクトップ環境のウィンドウシステムに「Wayland」の搭載を予定していたが、アルファ版の段階で見送られた。Waylandは、互換性の維持で複雑化しているX Window Systemより軽量なウィンドウシステム。アクセス制御機能がないX Window Systemよりセキュアなのも特徴だ。

 Waylandは既にFedora 21から実験的なサポートが始まっており、試すのは容易だ。ログイン画面で「サインイン」の横にある歯車アイコンをクリックする(図3)。「GNOME」「GNOMEクラシック」「GNOME on Wayland」の中から「GNOME on Wayland」を選んでログインすると、WaylandでGUIセッションが始まる。

図3●ログイン画面で「Wayland」ウィンドウシステムに切り替え可能
図3●ログイン画面で「Wayland」ウィンドウシステムに切り替え可能
Fedora 21が試験的に追加され、Fedora 24では標準になる予定だったが見送られた。
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