UbuntuをベースしたUNIX系OS「ubuntuBSD」の開発版が登場した。同OSは、UbuntuのLinuxカーネルをUNIX系OS「FreeBSD」のカーネルに置き換えたもの。Ubuntuと同じ環境で、UNIX系OSで人気が高いファイルシステム「ZFS」が使えるなどの利点がある。

 UNIX系OSで人気のファイルシステムに「ZFS」がある。これは、UNIX OS「Oracle Solaris」などが標準で搭載する、拡張性や堅牢性が高いファイルシステム一つだ。LinuxディストリビューションでもZFSを利用したいが、LinuxカーネルとZFSとのライセンスの問題で標準搭載することは難しいといわれている *1。実際に、Ubuntuの次期版「Ubuntu 16.04 LTS」でZFSを搭載すると発表したときは異論が唱えられ、採用が未定となっている。

 2016年3月19日にUbuntuの派生版である「ubuntuBSD」が公開された(図1)。これは、Linuxカーネルの代わりにUNIX系OS「FreeBSD」のカーネルを採用する(図2)。FreeBSDのカーネルを採用したおかげで、LinuxカーネルとZFSとのライセンス問題を回避。操作方法や見た目がUbuntuながら、インストール時にZFSを選択できる(図3)。なお、標準のデスクトップ環境は、Ubuntuの派生ディストリビューション「Xubuntu」の「Xfce」であるため、Xubuntuの派生版の方が正確といえる。また、LinuxカーネルではなくFreeBSDのカーネル搭載のため、LinuxディストリビューションではなくUNIX系OSだ。

図1●Ubuntuの派生版「ubuntuBSD」
図1●Ubuntuの派生版「ubuntuBSD」
Xubuntuのデスクトップ環境をインストールした。デスクトップ環境は開発版であるため、少し不安定だ。
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図2●カーネルのみFreeBSDのもの
図2●カーネルのみFreeBSDのもの
カーネル以外のソフトウエアはすべてUbuntuのものが使える。ubuntuBSDの開発版では、FreeBSD 10.1のカーネルとUbuntu 15.10の各種ソフトウエアを組み合わせている。
図3●ZFSのファイルシステムが選択可能
図3●ZFSのファイルシステムが選択可能

Xubuntuと変わらない

 ubuntuBSDのインストールディスクのイメージ(ubuntuBSD-15.10-BETA2-amd64.iso)は「https://sourceforge.net/projects/ubuntubsd/」から入手できる。入手したら、DVD/CDライティングソフトを使ってDVD-Rに書き込む。それを使ってPCを起動すると、ubuntuBSDのインストーラーが立ち上がる。

 インストーラーはCUIベースの画面になる(図4)。日本語環境が選べないので英語環境でインストールする。「Software selection」の画面で「Xubuntu Desktop」を選択すれば、インストール完了後にXubuntuのデスクトップ環境が使える。

図4●ubuntuBSDのインストール画面
図4●ubuntuBSDのインストール画面
日本語が選べないので、英語でインストールする。

 実際にubuntuBSDをインストールして試したみたが、デスクトップ環境が不安定で実用はまだ難しい。ただし、ウィンドウやパネルの見た目、コマンドの操作などはXubuntuそのものだ。