5ドルと安価な「Raspberry Pi Zero」が2015年11月26日に英国や米国で発売された。初代のRaspberry Piと同等の機能で性能は40%高い。サイズが5分の2と小さい代わりに、HDMIとUSBのポートも小さいので、別途変換器が必要になる。日本で安価に入手できそうな時期は未定だ。

 5ドルと極めて安価な「Raspberry Pi Zero」(以下、Zeroと呼ぶ)が登場した(図1)。CPU(SoC)の性能は初代のRaspberry Pi 1より40%高速になり、サイズ(面積)はおよそ5分の2。消費電力も0.8W程度と少ない、省エネ極小パソコンだ。

図1●Raspberry Pi Zeroの外観
図1●Raspberry Pi Zeroの外観

 主なスペックは表1の通り。CPUは初代Raspberry Piと同じARMチップで動作周波数が1GHzに上がった。デスクトップ画面の操作では、新しい世代のARM(ARMv7)を4コア備えるRaspberry Pi 2と比べると遅いが、サーバーや電子工作の用途では、多くの場合に問題にならないだろう。

表1●現行のRaspberry Piとの主な違い
表1●現行のRaspberry Piとの主な違い

 カメラとディスプレイの専用ポート(CSI、DSI)は省かれた。このため公式のカメラモジュールやディスプレイは接続できない。逆にそれ以外の機能はすべて使える。

 残念なのは、日本での発売時期が執筆時点(2015年12月21日)で未定なことだ。Raspberry Piはこれまで英RS Components社と英element14社の2社がほぼ半分ずつ製造(販売)してきたが、今のところZeroはelement14社だけが製造している。ところが日本法人があるのはRS Components社だけで、これまで日本では同社製品が主に販売されてきた。Zeroに関しては日本で安価に入手できそうな流通経路がまだ見えていない状態だ。