東京ビッグサイトで開催されたMaker Faire Tokyo 2014では、Raspberry Pi(ラズパイ)やEdisonなど多様な機器を使った面白工作が満載だった。電子工作マンガ「ハルロック」の工作が3種類再現されるなど実物に触れて楽しめた。回路を印刷できる導電インクなど最新の製品も注目を集めた。
モノ作り好きの個人や組織が集まって盛り上がるイベント「Maker Faire」。2006年から世界の100カ所以上で開催されていて、2014年11月22~23日の「Maker Faire Tokyo 2014」は、東京で10回目の開催だった*1。場所を東京ビッグサイトに移し、出展者数も昨年の250から300に拡大。「何かを作りたくなる」気にさせる展示であふれていた。
「ハルロック」の工作を3つ再現
人気のRaspberry Piを活用した工作はたくさんあったが、人目を集めていたのが週刊モーニングで連載中の電子工作マンガ「ハルロック」をテーマにしたブースだった。
無線マイコン「TWE-Lite」を開発する東京コスモス電機は、本誌11月号の特集で紹介した“neko-tter”をブースで再現した(図1)。neko-tterはハルロックで登場する電子工作で、猫の首輪に無線マイコンや加速度センサーをつけ、猫の行動や居場所を検知するシステムだ。Raspberry Piがセンサー情報を収集し、猫の行動をTwitterで飼い主に知らせる。東京コスモス電機は鈴型のケースを独自に作りコンパクトにした。
さらに、運動してダイエットができるハルロックの工作をもう1つ再現(図1右上)。ウエストポーチにneko-tterの首輪と同じ機器を入れて、運動して動き回らないと食料戸棚が開かない仕組みを実現した。
ハルロックの技術アドバイザーを務める鳥居順次氏(ニャロ・コンピュータ)もハルロックのブースでneko-tterを展示。さらに揺れると点滅パターンが変わるペンダントも作ってみせた(図1右下)。マンガでは、主人公の晴ちゃんの幼なじみが文化祭で販売したものだ。
32台のRaspberry Piクラスター
小坂貴美男氏(東京都立科学技術高等学校)はRaspberry Piで圧巻のブースを構えていた。32台のRaspberry Piをクラスター接続したシステムだ(写真1)。
各Raspberry PiにつないだUSBカメラを、被写体を囲むように配置する。時間差を置いて撮影すると、被写体の周りをカメラが回って取ったような写真が撮れる。それをつないで動画を作ることができる。
Raspberry Piによる電子工作を容易にする新しいコンセプトの製品も展示されていた。スイッチサイエンスが見せていたのは、プラネックスコミュニケーションズが開発するソフトウエアキット「Cloud Pi」を載せた製品(写真2)。Cloud Piは、自宅などに設置したRaspberry Piと自分のスマホなどをインターネットVPNで接続できるソフト。プラネックスコミュニケーションズが運営するクラウドサーバーを経由してつながり、スマホなどからRaspberry Piが同一LAN内につながっているように見える。Raspberry Piにつないだセンサー情報などを出先から簡単にチェックできるようになる。1年間の使用ライセンス込みでスイッチサイエンスが2014年中に発売する予定である。