ビッグデータ活用の鍵は“PIA”

 本書は個人の行動や状況に関する情報「パーソナルデータ」の活用の注意点を、各国の動向などとともに図解入りで解説している。企業の裁量が大きい米国と、厳しいプライバシー規制を敷くEUを比較することで日本の行方を探っている。

 著者がパーソナルデータ活用の鍵とするのは「PIA(プライバシー影響評価)」。データの活用過程で生まれる問題を、消費者や企業といった関係者が事前検討するプロセスを指す。消費者が自らのデータを利用されていると知らずに、企業がビジネスを開始して事件に発展する。そんな事態を未然に防ぐ有効な手段と目される。一般のビジネスパーソンに広く読んでほしい一冊だ。


「個人情報保護」から 「プライバシー保護」へとルールが変わる
パーソナルデータの教科書

小林 慎太郎 著
日経BP社発行
1404円(税込)