データと科学が解明する人間に潜む隠れた法則

 キリスト教には、少数派ながらカルヴァン主義の根幹を成す「予定説」を信じる人たちがいる。神の意思を個人の意思や行動で左右することはできないと信じる神学思想だ。人が自ら判断し、選択した物事の全ては、あらかじめ法則に従ったものだったとしたら…。

 本書の著者は2006年に日立中央研究所で開発されたウエアラブルセンサーを約8年間にわたって装着し、データを収集。このデータを分析することにより、人間の行動、経済学、社会の法則に至るまで、方程式を見いだす試みを続けている。「ビッグデータ」「IoT」などの言葉をよく聞くが、ここまで示唆に富む著書はない。


データの見えざる手
矢野 和男 著
草思社発行
1620円(税込)


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