インターネットと人間の脳、あるいは群れで行動する虫や動物との類似性から「急激に成長を続けるインターネットにはいずれ崩壊が始まる」との未来を予測する。起業家でもある脳科学者が、生物学や文明史、人工知能、インターネット技術など様々な領域の知見や事例を駆使して「ネットワークの興亡の法則」を探った意欲作だ。

 本書によれば、アリなどの動物の群れや脳などは、構成要素一つひとつの機能や知性は低いのに全体としては高度に振る舞う点で「ネットワーク」としての共通性を持つ。ネットワークは、例外なく(1)急激な成長、(2)限界点(ブレークポイント)、(3)均衡もしくは崩壊─という同じ軌跡を辿るという。孤島に繁殖したシカの群れが突然衰退する例もあれば、成長が止まって安定した生態系を築いた動物の例もある。これらの事例からネットワークが限界点を超えても質的に成長・成熟する条件も解き明かす。


ブレークポイント
ジェフ・スティベル 著、今井和久 訳
KADOKAWA発行
1944円(税込)