システム構築プロジェクトに発生しがちな問題をいかに防ぐか。そのための鉄則を、元ITエンジニアで現在は東京地方裁判所の民事調停委員(IT事件担当)を務める異色の経歴の著者が解説する。

 具体的には「提案と見積もり」「契約と法務」「要件定義」「プロジェクト計画と管理」「開発方式とシステム形態」という五つのジャンルに分け、計77個のキーワードを抽出。各キーワードに対し、裁判に至った事例を引きつつ鉄則を提示する。要件定義を例に取ると、「機能要件」「非機能要件」「RAS(信頼性・可用性・保守性)」といったキーワードを挙げる。このうち機能要件であれば、「最低でも5W1Hチェックは行う」を鉄則として掲げる。「この機能が起動するイベントや時刻はいつか」「誰がこの機能を利用し結果を受け取るか」といったポイントが問題となり、裁判に発展しやすいという。

 プロジェクトマネジメントの基本を知りたい若手はもちろん、ベテランも手元に置いておくと心強い一冊だ。


「IT専門調停委員」が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則
細川 義洋 著
日本実業出版社発行
2160円(税込)