中国ファーウェイといえば、通信事業者向けビジネスの分野ではもちろん、今では端末、法人分野でも世界大手の一角を占める企業だ。本書はファーウェイ創業者である任正非(レン・ジェンフェイ)氏の経営哲学やこれまでの歩みに迫った本である。友人が少なく、徒党も組まないという任氏の性格からか、これまで任氏はメディアに登場することがほとんどなかった。本書は過去の発言録などから任氏の人物像や経営哲学に迫っている。任氏に関するまとまった資料は少なく、本書はその点で参考になる。

 ただし各章で話題が飛ぶため、任氏やファーウェイの歩みを時系列で把握しにくい。中国のPBX市場でビジネスの礎を築いた1987年からの創業期、中国の電話市場で飛躍した1992年から2000年、そして世界の通信市場に出た2000年以降と、ファーウェイには3つの転機があった。このような章立てのほうが読みやすかったのではないか。


日本インターネット書紀
田 濤、呉 春波 著
内村 和雄 訳
東洋経済新報社発行
1944円(税込)