人工知能の分野で第一線の研究者である東京大学の松尾豊准教授が、人工知能のこれまでの歩みと、近年で最大のブレークスルーになった「ディープラーニング」について詳しく解説した書籍だ。

 よく知られているように、人工知能は1960年代から現在まで3度のブームが訪れている。本書ではこれまでの人工知能ブームを、技術や外部環境とともに詳細に解説しており、この部分だけでも参考になるだろう。

 筆者は過去50年間の人工知能はあくまでマイナーチェンジであり、2012年に登場したディープラーニングこそ「この50年来の人工知能研究のブレークスルー」と高く評価する。コンピュータが学習する際の特徴を、自ら発見できるようになったからだ。

 本書の後半では「人工知能は人間を超えるか」というテーマも取り扱う。第一線の研究者ならではの知見が随所に感じられるスリリングな一冊だ。


人工知能は人間を超えるか
松尾 豊 著
KADOKAWA発行
1512円(税込)