ドキュメント作成スキルというと、二重否定を使わない、一文を短くする、といった分かりやすく書くコツを思い浮かべるかもしれない。しかしITエンジニアに求められるスキルにおいて、それはごく一部に過ぎない、というのが本書の主張だ。

 本書が解説する中核のドキュメント作成スキルは、構造化である。第2章では、次世代ストレージについて書かれたダメな短い文章を題材に、その中の要素を分類してラベルをつけ、意味のある順序に並べ、メッセージを決める─といった構造化のやり方を、図解を交えながらステップ・バイ・ステップで具体的に示す。さらに第5章で、「Apacheの設定ファイルに関する説明」「インシデント対応活動」などをテーマにした17個のダメな文章について、同じように構造化による修正過程を解説する。

 小ぎれいな文章を書くスキルではなく、本質的なドキュメント作成スキルを高めたいというエンジニアに勧められる一冊だ。


エンジニアのための伝わる書き方講座
開米 瑞浩 著
技術評論社発行
2138円(税込)