エンジニアに聞く

上野 星慈(うえの せいじ)氏
上野 星慈(うえの せいじ)氏 セキュリティベンダーであるラックで、システムサービス本部 産業システム統括部 第一サービス部のグループリーダーを務める。主に旅行業中心の社内システムやECサイトなどを開発する。入社して以来14年間、システムエンジニア一筋。
(聞き手は齊藤 貴之=日経NETWORK)

追い込まれたのは自分だけではない

 私は現在、プロジェクトマネージャーとして複数のシステム開発案件を指揮しています。システム開発に関わる人が共感し、仕事が楽しくなる漫画があります。「東京トイボックス」と続編の「大東京トイボックス」です。窮地にいた私を助けてくれた本でもあります。

 4年ほど前、何十人月規模という大きな案件を初めて任されました。それまでは2、3人月という小規模の案件の経験しかなく、10人近いメンバーを抱えてやっていけるのか不安でした。その不安が的中し、大きなストレスを感じるようになってしまいました。

 小さいプロジェクトのときは、メンバーから判断を求められると、全員で話し合ったりしながら答えを見つけられました。しかし大規模になるとそうもいかず、しかも左を見ても右を見ても地獄みたいな状況が多かったのです。全員が幸せになる選択肢がないので決断できない、でも決断しなければならない、これがストレスになっていきます。自分はマネージャーに向いていないんじゃないかと、思い悩むようになりました。

 そんなとき、メンバーの1人から薦められたのが、東京トイボックスだったのです。東京トイボックスは、ゲーム開発会社が舞台ですが、現場の様子はシステム開発と大きな差はありません。