時間管理至上主義に警鐘

 スマートフォン向けにメールやTO DOリストをはじめとした無数の生産性向上アプリが提供され、ネット書店のアマゾンには時間管理の書籍が9万5000冊以上並ぶ。組織と個人の生産性向上への要求は、ITの支援を受けてますます強まる。

 神経科学者である著者は、こうした流れに疑問を呈する。人間の脳には「何もしていないとき」に活発化する「デフォルトネットワーク」が存在することを示し、「新しいスキルを学ぶには、記憶を固定するための休息が欠かせない」と指摘する。脳の部位やその機能についての研究成果を解説しながら、創造性と生産性のバランスについての示唆も与えてくれる。

できる人はダラダラ上手
アンドリュー・スマート 著
月沢 李歌子 訳
草思社発行
1620円(税込)