ノンストップの労働現場 ITの加担を糾弾

 題名の24/7は「24時間・週7日フルタイム」を意味し、資本主義が暴走を続け、ノンストップの労働現場で人々が「共同の形態とのつながりから切り離されてしまった」状態を指す。インターネットやデバイスなどITは24/7に加担するものだと現代美術批評家の著者は糾弾する。一方、「待つことや休止からなるわたしたちの生活における循環」と「無効になり無視された知覚能力」を回復する睡眠の価値を強調する。

 資本主義を悪と断じる主張や生硬な翻訳ゆえに、読み辛い本ではある。だがIT関連の仕事に就く以上、時には否定論に触れ、ITの価値を再考するのもよいだろう。


24/7 眠らない社会
ジョナサン・クレーリー 著
岡田 温司 監訳
石谷 治寛 訳
NTT出版 発行
2700円(税込)