インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一会長兼CEOによる著書。会社設立から現在に至るまでの経緯を振り返った。鈴木会長にとって悔いの残っている2つの出来事、すなわち「会社設立後の1年3カ月に及ぶ空白期間」と「クロスウェイブ コミュニケーションズ(CWC)の会社更生法の適用申請」を中心につづられている。

 前者は郵政省に事業者登録を認められず、1800万円の資本金は2カ月で底をついた。金策に明け暮れる日々が続き、最後は行政訴訟まで検討していた。ようやくサービスを始めたころにはデファクトスタンダードを米国大手に握られ、あの空白期間さえなければとの悔いが残るという。後者は、CWCの先見性の高さを業界の誰もが認めるが、最終的には資金繰りに困って破たんした。日本高速通信やIDCの買収計画、電力連合との提携失敗などの裏話にも触れる。鈴木会長独特の書きぶりで、面白く読める。


日本インターネット書紀
鈴木幸一 著
講談社発行
2808円(税込)