著者に聞く

友近 剛史(ともちか たけし、中央)氏、池尻 雄一(いけじり ゆういち、右)氏、白崎 泰弘(しらさき やすひろ、左)氏
友近 剛史(ともちか たけし、中央)、池尻 雄一(いけじり ゆういち、右)、白崎 泰弘(しらさき やすひろ、左) 友近氏はNTTコミュニケーションズ クラウドサービス部 ホスティングサービス部門 担当部長。池尻氏は同社 ネットワークサービス部 テクノロジー部門 担当部長。白崎氏は同部門の主査。それぞれクラウドやネットワークサービスの企画・設計などを担当する。
(聞き手は田村 奈央=日経NETWORK)

読み始めは初心者でも1冊読むと専門家に

友近:本書はルーティング技術を基礎から学べる入門書です。2001年の初版から改訂を重ねて今回、第3版を発行しました。新版ではネットワーク仮想化の技術や、IPv6ルーティングの情報を追加しています。

池尻:VXLANやNVGREなど、データセンター向けのネットワーク仮想化技術を中心に取り上げました。新しいネットワーク仮想化技術には、OSPF、BGP、MPLSなど昔からあるルーティング技術の考え方が、形を変えて適用されています。データセンターのネットワークが大規模化・複雑化したので、以前から広域ネットワークで利用していたルーティング技術の中で、使えそうなものを取り入れています。一冊読み通すと、ルーティングからネットワーク仮想化に至る技術の“流れ”が理解できます。

白崎:IPv6ルーティングは、IPv4との違いを中心に説明しました。数年前に比べるとIPv6もだいぶ一般的になってきましたから、営業担当者や技術部門の新人でも、IPv6について聞かれることがあります。そんな時、とっさに要点を説明できるような情報を厳選して載せています。

講演を基にわかりやすさ追求

友近:本書は90年代末、私が営業先やイベントで講演していた内容を基にしています。初心者が多い会場で講演を何度も繰り返していると、お客さんの反応から説明時にわかりにくいポイントが見えてきました。本書ではそこを踏まえて、わかりやすく書くことに全力を注ぎました。特にルーティングの基礎を解説する第1章は、誰でも読めるように何度も書き直しています。これは初版の頃から一貫した工夫で、本書の一番の売りだと思っています。

池尻::一方、後ろのほうの具体的なプロトコルの説明に関しては、平易さを保ちつつかなり詳細に書き込んでいます。例えばOSPFについて、こんなに詳しく書いてある本はほかにありません。専門家からも「リファレンスブックとして手元に1冊置いている」と聞くことがあります。「初心者として読み始めて、1冊きちんと読んで理解しきると専門家になっている」、そんな本を目指しています。


インターネットルーティング入門 第3版
友近 剛史/池尻 雄一/白崎 泰弘 著
翔泳社発行
2808円(税込)