理論物理学者が読み解く 心、脳、AIの最前線

 「ロボットは理解したり感じたりできるのか?」「自由意思は存在するのか?」。そんな心と脳を巡る問いに、著名な理論物理学者でありサイエンスライターでもあるミチオ・カク氏が最新の研究を基に答える科学ノンフィクション。

 歴史上、3回目のブームを迎えた人工知能(AI)についても、1章を割いて解説している。演算能力の進歩は目覚ましいと認めつつ、自己認識や常識を持つ「自分で考えられる機械」を作る点では、現時点でも「進歩はいやになるほど遅い」と冷静に分析する。最近になってAI脅威論がメディアを賑わす中、心と脳について科学の視点で見つめ直すのに最適な本だ。


フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する
ミチオ・カク 著
斉藤 隆央 訳
NHK出版 発行
2700円(税込)