ソフトバンクの社長室長(現在は顧問)を務めた嶋聡氏による著書。同氏が2003年から記録してきた「朝日記」をベースにまとめたもので、ボーダフォン日本法人の買収から、通信・放送の在り方に関する懇談会(2006年)、「光の道」の議論、東日本大震災後の自然エネルギーへの取り組み、米スプリント買収に至るまでの舞台裏が紹介されている。過去の重要局面における孫正義社長の言動などが詳しく分かるため、興味深く読める。

 例えば米アップルのiPhoneを独占的に販売できたことについて、孫社長は「ジョブズとは金銭的な条件の交渉は一度もなかった。何台買えとか、いくらで買うのだという話は全くない。そんな次元じゃないんだ」と語っていたという。著者は渉外で活躍したため、特に総務省とのやり取りや、自然エネルギーの取り組み(アジア・スーパーグリッドなど)に詳しい。どちらかと言えば業界関係者向け。


孫正義の参謀
嶋聡 著
東洋経済新報社発行
1944円(税込)