スマートフォンやタブレット、ロボットなど、人間の言葉を理解して反応するデバイスが増えてきた。言葉の理解度は数年前よりも格段に上がっている。こうしたコンピュータで言葉を処理する自然言語処理は、IoT(Internet of Things)時代を間近に控え、モノと人をつなぐ技術として重要性が急速に高まっている。

 本書は自然言語処理の入門書。1章ではコンピュータで言語を扱うにはどのような面白さや難しさがあるのかを、2章では言葉を理解するために必要な知識を解説する。ここまでは誰でもすいすいと読めるはずだ。3章以降は専門的な話になってくるので、じっくりと時間をかけて読みたい。5章までが要素技術の解説であり、6章では自然言語処理を活用したアプリケーションについて紹介する。

 筆者はまえがきで、自然言語処理の書籍は説明が専門的で難しいものと思われがちだと述べる。本書では、分かりやすく説明しようとする筆者の思いが随所で感じられた。


はじめての自然言語処理
土屋誠司 著
森北出版
2376円(税込)