ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、情報システムやアプリケーションの利用を通じて得られる、使い勝手や面白さ、満足感といった体験のこと。一見すると、とらえどころがないように思えるUXに指標を設定し、評価しやすくするための方法論を解説する。

 本書は、UXを測定する指標を大きく五つに分類する。その一つである「行動・生理メトリクス」は、ユーザーの視線の動きや心拍数を測定するもの。例えばあるアプリケーションの操作時に、ユーザーの視線の移動距離を測定。短ければ効率的に操作でき、満足感を得やすいと判断するといった具合だ。また、心拍数はWebページのデータのロード時間が長くなるほど、著しく高くなる傾向があるという。

 こうした指標の紹介と実践方法の解説に加えて、音声応答システムの評価やWebサイトのデザイン変更など、ITの現場で応用しやすい事例も盛り込んでいる。スマートデバイス向けなど、UXを重視するシステムの構築時には手元に置いておきたい。


ユーザーエクスペリエンスの測定
Tom Tullis、Bill Albert 著、篠原 稔和 監訳
ソシオメディア 訳
東京電機大学出版局発行
4860円(税込)