「ささいなミスが大損害につながる」「QCDが厳格」「周囲との会話が希薄」。ITエンジニアは過酷なストレスにさらされがちだ。「ストレスは体に悪い」と考えている人は多いだろうが、本書はそれを思い込みだと指摘する。さらに、「ストレスは役に立つ」と考えてストレスを受け入れることで、良い変化が生まれると主張する。

 筆者はスタンフォード大学で教鞭を執る健康心理学者。本書は筆者が担当する講座「ストレスの新しい科学」に基づいた内容だ。ストレスに関する研究結果や科学者の知見を多数紹介し、ストレスは害にもなるが、考え方を変えることでそうならずに済むと説く。最新の研究結果から、「ストレスは人を賢く強くし、成功へと導く」「人はストレスの経験から学び、成長できる」「勇気や思いやりを持てる」と説明する。

 本書は大きく二つのパートで構成され、前半はストレスを見直すこと、後半はストレスに強くなるための手法を取り上げる。ストレスを強く感じているときに一読すると、気持ちがやわらぐかもしれない。


スタンフォードの
ストレスを力に変える教科書
   
ケリー・マクゴニガル 著、神崎 朗子 訳
大和書房
1728円(税込)