前フェイスブックジャパンの副代表で、現在はKDDIで「Syn.」構想を仕掛ける著者が、自身の取り組みを踏まえて、劇的に商品やサービスの利用者数を増やす、いわゆるグロースハックについて記した本だ。

 著者が冒頭で示すのが、グロースハックとはテクニカルな話ではなく、「いかに発想して、いかに集中するかというマインドセットの話」という点。どこまで事業にすべてをかける覚悟を持っているのか、相手を説得するためのディティールが練られているのか、といった心がけを繰り返し強調する。

 読み物として面白いのは、フェイスブックジャパンが爆発的に成長するターニングポイントになった、電通やKDDIとの提携のくだりである。筆者の森岡氏は現在、KDDIの新規ビジネス推進本部担当部長として、1000億円もの投資枠を持つと言われている。同氏の今後の取り組みについても興味は尽きない。


グロースの時代
森岡康一 著
KADOKAWA発行
1512円(税込)