何を言っているのか分からない―。ITの現場でそんな「困った文章」を読んだ経験はないだろうか。システムの開発・運用では、仕様書、設計書、手順書などさまざまな文書を基に、チームで業務を進めていく。困った文章が横行すれば、生産性や品質の悪化につながる。

 そこでお勧めしたいのが、本誌で好評を博した文章の連載講座をまとめたこの本である。自分の主張が相手に伝わり、相手が次の行動を起こす。そんな「通じる文章」を書くコツを、五つの力に整理して解説する。その一つ「論理力」を例に取ると、ロジックツリーを使いながら主張と根拠を相手の目線で整理する、という具合だ。

 単なる文章テクニックの解説ではなく、五つの力を駆使した文書作成の手順を、演習問題を解きながら学べるのも特徴である。ぜひ手元に置き、文書作成に生かしてほしい。


ITエンジニアのための
通じる文章にする五つの力

清水 久三子 著
日経BP社発行
2268円(税込)