モバイル、ソーシャルメディア、ビッグデータ、センサー、位置情報といった技術の組み合わせにより、人々の生活がどう変わるのかを展望した書。副題は「ウェアラブルがもたらす次の10年」だが、ソーシャルやセンサーから得たユーザーのコンテキスト(前後の事情、背景)に基づいて最適なサービスを提供する「パーソナル・アシスタンス」が中心である。

 娯楽や自動車、医療、家庭など様々な分野を取り上げ、豊富な事例を交えて解説する。米アップルが地図アプリを米グーグルから変更した理由やグーグルナウにおける危険な事例など興味深い話も多い。本書は「得られる便益のほうがずっと大きい」とのスタンスだが、プライバシー問題にもしっかりと切り込む。消費者の立場では「どう向き合っていくべきか」、企業の立場では「どう取り込んでいくべきか」という観点で気付きが多く、広く一般にお薦めできる。


コンテキストの時代
ウェアラブルがもたらす次の10年

ロバート・スコーブル、シェル・イスラエル 著
滑川 海彦、高橋 信夫 訳
日経BP社 発行
1944円(税込)


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