ラリー・ペイジCEO兼共同創業者が執筆した序文(電子書店「日経ストア」の試読版で閲読可能)に続く、やや長めの「はじめに」を読み進めていくと、「本書は成功・成長している企業やベンチャーの発達過程をたどるような構成になっている」とある。ただし本書は社業を時系列に追ったいわゆる企業史ではない。グーグル社内の日常的な出来事を淡々と紹介しているにすぎない。話題もころころ変わる。それでも一気に読ませるのは、一般には非日常的としか思えないエピソードや発言で埋め尽くされているからだ。

 一例を挙げれば「君はただのバカ高いルーターだな!」というコメントをほめ言葉と受け取るといった具合だ。またグーグルといえば持続的成長を実現している典型だが、その唯一の道が「イノベーションの原始スープ」を作ることだと説く。その表現を借りれば本書は「マネジメントの原始スープ」と呼べる指南書、自己啓発本だ。


How Google Works
私たちの働き方とマネジメント

エリック・シュミット/ジョナサン・ローゼンバーグ/アラン・イーグル 著
土方奈美 訳
日本経済新聞出版社発行
1944円(税込)